大腸がんと便秘の関係が見えてきた!予防に必要な2つのこと
大腸の働きを知る
腸はさまざまな役割を果たしています。
胃から送られてきたものを消化し栄養を吸収する、体に必要な栄養素を作る、解毒作用など実に多くの働きをしています。
その中で、大腸の働きは小腸から送られてきた内容物から水分や塩類を吸収して便を作ることです。
ここで水分を調整して排泄しやすい硬さにします。
水分調整が上手くいかないと硬くて便秘になったり、柔らかすぎて下痢になったりします。
溜まった便はぜん動運動によって排泄されますが、この時に腸の中の細菌も一緒に排泄されることで感染を予防しています。
この大腸は長さが約1.5mあり、盲腸、結腸、直腸に分けられ、それぞれの役目をもっています。
盲腸
盲腸の一部に虫垂と呼ばれている部分があります。
この虫垂から細菌やウィルスによる感染を予防する働きがあるグロブリンAという免疫を分泌しています。
ですから虫垂を切ってしまうと免疫力が落ちて腸の粘膜が腫れたり痛んだりする炎症や、症状が深くまでおよんだ潰瘍(かいよう)を起こす可能性があります。
結腸
結腸は上行結腸(じょうこうけっちょう)、横行結腸(おうこうけっちょう)、下行結腸(かこうけっちょう)、S状結腸から構成されています。
働きは水分調整をおこない便を作り、直腸に送ることです。
また、小腸で吸収できなかった炭水化物、タンパク質を分解して吸収します。
直腸
送られてきた便を溜めておく働きををしています。
直腸には便を溜めるために太くなった部分がありますが、ここに便が溜まることで便意が起きてぜん動運動が始まり、排泄する仕組みになっています。
大腸ガンとは
日本人が病気で亡くなる原因としてもっとも多いのがガンです。
その中でも大腸ガンで死亡する方は性別に関係なく、ガンの中でも上位に位置しています。
大腸の中でも特に直腸とS状結腸に発生しやすいと言われています。
では、なぜ大腸がんになるのでしょう?
原因として和食中心であった食生活が、欧米化により変化したことが考えられています。
肉食が増えて動物性脂肪の量も多くなったことも上げられます。
また、遺伝性大腸ガンとしてリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス性大腸がん)があります。
これは親などの親族から遺伝しているとされ、遺伝子の機能がなくなったり、低下することが関係しているのです。
大腸ガンになる場合には2つのパターンがあり、正常な状態からガンが発生する場合と良性のポリープがガンに変化する場合です。
いずれの場合も最初は腸の粘膜の表面に発生しますが、次第に腸の壁の深くまで進行していきます。
さらに、ガン細胞は肺や肝臓、リンパ節といった他の内蔵や場所に転移する可能性があるのです。
便秘と大腸ガンの関係
便秘と大腸がんはお互いに影響し合っていると言えます。
便秘になることで腸の中では有害物質が溜まるのですが、これがガン発生に関係しているとされています。
つまり発がん物質と腸の粘膜がいつも触れ合って、隣り合わせの状態になっています。
直腸とS字結腸についてはどうしても溜まりやすい場所になりますので、ガンの発生する確率が高くなります。
私たちが気を付けたいのは、便秘の状態に変化が起きていないかという点です。
今までより便が出ない日が長く続く、腹痛やお腹の張りなどの症状がともなったら注意が必要です。
これとは反対に、すでにガンが発生していた場合に、ある程度進行していると腸が狭くなります。
すると便の通りが悪くなって、細い便になったり便秘になることがあります。
大腸ガンの症状
早期ガンの場合は症状があまりあらわれないことが多いです。
ですが、症状が進んでくると便に血が混じったり、腹痛になる等の症状が出てきます。
出血する時は痔になっている場合もありますが、病院で検査をしてもらうことをお勧めします。
大腸ガンのチェックポイント
- 血便や下血といった出血がある
- 下痢と便秘が交互に起こる
- 便が細くなったり、残便感がある
- お腹に張りやしこりがある
- 体重が急に減り始める
- 全身がだるくなる
- 貧血を起こしやすい
大腸ガンの場合、早期発見によって完治する確率が高くなります。
これらの症状が現れたときはもちろんですが、定期健診をしっかりと受けておきたいですね。
大腸ガンの治療方法
治療方法はガンの進行の程度によって異なります。
1種類だけの方法で治療をおこなう場合と、複数の方法を組み合わせて治療をおこなう場合があります。
ガンの状態はステージ0~ステージ4までの5段階に分けられて、それぞれの症状に合った内容で治療がおこなわれます。
外科療法(手術)
早期ガンでリンパ節に転移がない場合には内視鏡による手術が可能になっています。
これは肛門から内視鏡をいれて、腸の内側から患部を切り取るという方法で、患者の負担が少ないのが特徴です。
ステージ0~ステージ1の浅い部分のガンに採用されます。
症状が進んでいる場合には開腹手術が行われますが、進行ガンでは患部と合わせて転移の可能性のあるリンパ節を切り取ることもあります。
また、腹腔鏡下切除術(ふっくうきょうかせつじょじゅつ)といってお腹に小さな穴を開けて行う方法や、開腹しないで肛門の方から患部を切り取る手術方法もあります。
化学療法
薬を使った治療方法です。
手術と合わせておこなう場合と、手術ができない場合に代替手段として用いられる場合の2通りのパターンがあります。
ステージ2~ステージ4では手術の後に薬を使って治療がおこなわれます。
抗がん剤には飲み薬と注射があり、患者の状態に応じて使い分けられているのです。
副作用として吐き気や下痢、髪が抜けるといった症状が出たりします。
放射線治療
放射線を患部にあててガン細胞を壊して増殖を防ぐのが目的です。
治療の際には健康な細胞も影響を受けますが、ほぼ元に戻るとされています。
手術前に患部を小さくする目的であったり、手術後に再発を抑えるためにおこなう事があります。
また、手術ができない場合に痛みなどの症状を緩和させる目的でおこなわれます。
副作用があらわれることもあり、症状としては食欲低下、吐き気、下痢、頻尿、白血球が少なくなる等です。
大腸ガンの予防方法
大腸ガン予防のためには、運動をおこない食生活を見直しましょう。
運動不足や肥満はガンになるリスクが高くなります。
ですが、運動をすることで免疫力を高めることができますし、内臓脂肪を減らせばガンになりにくい体になります。
最初は少しでも構わないので、無理をせずに徐々に増やしていけばいいでしょう。
タバコは控えて、お酒も飲み過ぎないようにしてください。
食生活も高脂肪の偏った食事を改めて、食物繊維がたっぷりのバランスの良い食事をするように心がけましょう。
魚類、チーズ、大豆食品などから良質のたんぱく質を摂ることも大切です。
緑黄色野菜、果物からビタミンCやビタミンEを、桜エビ、しらす干し、チーズなどからはカルシウムを補給できます。
栄養素 | 食品 |
---|---|
タンパク質 | しらす干し、いわし、たらこ、あじ、鶏ささみ、チーズ、凍り豆腐、大豆、小豆 |
食物繊維 | インゲン豆、あずき、おから、寒天、ひじき、わかめ、こんぶ、きくらげ、干ししいたけ |
ビタミンC | ピーマン、パセリ、芽キャベツ、レモン、キウイフルーツ、柿、いちご |
ビタミンE | たらこ、めんたいこ、モロヘイヤ、大根(葉)、赤ピーマン、うなぎ、かぼちゃ |
カルシウム | 桜エビ、しらす干し、チーズ、パセリ、モロヘイヤ、いわし、ししゃも |
大腸がんは予防するのが最も大切です。
常日頃から気を付けていればリスクは下がります。
ですから基本である食事と運動の改善を続けて、大腸がんにならないようにしたいですね。